【第13回】やらない方が安全?「投資をするリスク」と「投資をしないリスク」の本当の話
これまで、NISAの仕組みやおすすめのインデックスファンド、そして口座開設の方法まで、投資の基本をまるごとお伝えしてきました。
しかし、いざ証券口座を開いて「さあ、お金を入れよう!」という段階になると、ふとこんな迷いが頭をよぎるかもしれません。
「やっぱり、お金が減るかもしれないのは怖いな…」
「投資なんてしなくても、今まで通りコツコツ貯金だけしていれば安全なんじゃない?」
そのお気持ち、とてもよく分かります。一生懸命働いて得た大切なお金ですから、守りたいと思うのは当然のことです。
そこで今回は、あえて「投資をするリスク」だけでなく、「投資をしないリスク」にもスポットライトを当てて、本当の『安全』とは何かを一緒に考えてみましょう。
1. 「投資をする」リスクとリターン

まずは、NISAなどでインデックスファンドを買って運用する場合です。
リターン(得られるもの)
- 資産が大きく育つ可能性: 世界の経済成長と「時間(複利)」を味方につけることで、銀行の利息とは比べ物にならないスピードで資産が増える可能性を秘めています。
- インフレに負けない: 企業の売上や株価は、モノの値段(物価)と一緒に上がっていく傾向があるため、インフレからお金の価値を守る強力な盾になります。
リスク(注意すべきこと)
- 元本割れの可能性: どんなに優秀なインデックスファンドでも、〇〇ショックのような世界的な不況が来れば、一時的に預けた金額よりもマイナスになる(元本割れする)時期が必ずあります。
- 心理的なストレス: ニュースで「株価急落!」と報道されるたびに、自分の資産が減っていないかハラハラしてしまうかもしれません。
2. 「投資をしない(貯金のみ)」リスクとリターン

では次に、投資は一切やらず、今まで通りすべてのお金を銀行口座の貯金だけで管理する場合です。
リターン(得られるもの)
- 額面の数字が減らない絶対の安心感: 銀行に預けている100万円は、引き出さない限り絶対に99万円にはなりません。この「数字が守られている」という安心感は絶大です。
- いつでもすぐに使える: 急な病気や家電の故障など、予期せぬトラブルが起きた時、ATMに行けばすぐに現金として引き出して使うことができます。
リスク(注意すべきこと)
- お金の実質的な「価値」が目減りする: 第5回でお話しした「インフレの罠」です。通帳の数字は減りませんが、世の中のモノの値段が上がれば、今まで買えていたものが買えなくなります。つまり、「数字は守れても、価値は守れない」というのが最大の弱点です。
- 機会損失(増えたはずのお金を逃す): 正しい長期投資をしていれば得られたはずの利益を、すべて手放すことになります。これは見えない損失と言えます。
どちらを選ぶのが正解?

ここまでの内容を、分かりやすく表にまとめてみましょう。
| 〇 | 投資をする場合 | 投資をしない(貯金のみ)場合 |
| リターン (得られるもの) | ・資産が大きく増える可能性がある ・インフレに強い | ・額面の数字は減らない(安心感) ・いつでもすぐに引き出して使える |
| リスク (注意すべき点) | ・短期的には元本割れする可能性がある ・価格の変動による心理的ストレス | ・インフレでお金の「価値」が目減りする ・大きく増えるチャンスを逃す(機会損失) |
こうして比較してみると、ある重大な事実に気がつきます。
それは、「投資をしても、しなくても、どちらにも必ずリスクはある」ということです。
「投資=危険」「貯金=安全」というシンプルな話ではありません。
投資をして一時的に数字が減るリスクを取るか、貯金だけをしてジワジワとお金の価値が目減りしていくリスクを取るか。私たちは、どちらかのリスクを必ず選ばなければならないのです。
一番の「安全」は、両方を使い分けること

では、どうすれば一番安全にお金を守り、育てることができるのでしょうか?
結論は、「貯金と投資、それぞれの得意分野を活かして使い分けること」です。
- 貯金の役割(守り): 数年以内に使う予定の教育資金や、もしもの時のための生活防衛資金(生活費の半年分など)は、絶対に減らさずすぐに引き出せる「貯金」でしっかり確保する。
- 投資の役割(攻め): 当分使う予定のないお金(10年以上先の老後資金や、遠い未来のための備え)は、インフレ対策として「投資」に回してじっくり育てる。
このバランスを保つことこそが、これからの時代を生き抜くための最も賢く、最も安全な資産形成の正解だと言えます。
投資をしないリスクをしっかり理解できたあなたなら、もう一時的な株価の上下に振り回されることはありません。自信を持って、未来のための第一歩を踏み出してくださいね!
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入を勧誘するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任で行っていただきますようお願いいたします。

